つまらない映画を鑑賞し続けるべきか?
2時間の映画のチケットを1800円で購入したとする。
映画館に入場し映画を観始めた。10分後に映画が余りにもつまらないことが判明した場合にその映画を観続けるべきか、それとも途中で映画館を退出して残りの時間を有効に使うべきかが問題となる。
映画を観続けた場合 | チケット料金1800円と上映時間の2時間を失う。 |
映画を観るのを途中でやめた場合 | チケット代1800円と退出までの上映時間の10分間は失うが、 残った時間の1時間50分をより有効に使うことができる。 |
この場合、チケット代1800円とつまらないと感じるまでの10分が埋没費用である。」この埋没費用は、上記のどちらの選択肢を選んだとしても回収できない費用である。
したがって、時間を浪費してまで、つまらないと感じる映画を観続けることは経済学的に合理的な選択ではない。 途中で退出して残りの時間を有効に使うことが経済学的に合理的な選択である。
しかし、多くの人は「払った1800円がもったいない。元を取らなければ」などと考え、つまらない映画を観続けることによって時間を浪費してしまいがちである。
チケットをなくしてしまった。
ある映画のチケットを1800円で購入しこのチケットを紛失してしまった場合に、再度チケットを購入してでも映画を観るべきか否か?
チケットを購入したということは、その映画を見ることに少なくとも代金1800円と同等以上の価値があると感じていたからのはずである。
一方で紛失してしまったチケットの代金は前述の埋没費用にあたる(見ても見なくても1800円は戻ってこない)ものだから、2度目の選択においてはこれを判断材料に入れないことが合理的である。
ならば、再度1800円のチケットを購入してでも1800円以上の価値がある映画を観るのが経済学的には合理的な選択となる。
しかし、人は「その映画に3600円分の価値があるか」という基準で考えてしまいがちである。